なつこちゃんからのメール




●楽しい生活●

今のわたしの生活は、とても充実しています。一日の流れを書いてみますね。
6時45分にあきちゃんと朝食を食べます。
この時、あきちゃんはぎりぎりまで寝ているので、準備をします。毎日朝食当番をしている感じで楽しいです。
食事が終わってからおじさんが起きてくるので、少しお話します。
そのあとは読書をしたり、家事(和美さんは忙しいので洗濯物や掃除、洗い物ができない時があるのです)をしたりします。
(なのはなのみんなもやっているだろうなぁ)と思う時に、筋力トレーニングをやる時もあります。
11時になったら昼食を食べて、アルバイトの支度をして11時25分に家を出ます。
12時から17時までパン屋さんで仕事をし、帰ると17時30分くらいです。

それから和美さんとおじさんと「お茶」の時間です。
和美さんたちは食事の時間が遅い(昼食が午後2時、夕食が午後8時〜10時)ので、
朝の10時と夕方の17時にお茶の時間を設けているのです。
おやつの時間のようなものです。わたしは夕方だけ、参加しています。
その後、お風呂を掃除をして、沸かします。夕食までに家事が残っていたらそれをします。
あきちゃんが帰ってきて、夕食を食べるのは20時ごろです。

こうやって書いてみると、(主婦のような生活をしているなぁ)と思って笑ってしまいました。
和美さんたちはほとんど家にはいません。
隣のお店で働いているので、わたしは午前中一人でいます。
とは言っても、ぐうたらしているのは嫌なので、何かできることを見つけてやっています。
今日は気になっていた階段をすべて(1階から3階まで)綺麗にしました。
誰にも見られていないし、誰にも気づかれなかったかもしれないけど、満足しました。
ほこりが、小さな赤ちゃんの手の平くらいの大きさほどもあったことに驚きました。
リビングの掃除もしました。
コロコロとローラーのようなものがついている掃除の機械があるのですが、
それをやるのが楽しくて、つい時間を忘れて熱中してしまいました。
落ちている髪の毛を1本も残さずに掃除をするのが目標でした。
この間、少し片付けをした時に、和美さんがこう言ってくれました。
「なっちゃん、掃除してくれたでしょ? ありがとう、洗い物もいつもやってもらってて、すごく助かってるよ」
するとあきちゃんが、笑って、「わたしが何もしてないから、怠け者みたいに見えちゃうよ!」
と言いました。
わたしは、なのはなにいる時くらいの動きをしているだけです。
ひょっとしたら、それよりも少ない動きかもしれません。
それでも、そうやって感謝してもらえるなんてとても照れくさい気持ちです。
当たり前のことをしていて、感謝してもらえるというのは、わたしにはちょっと恥ずかしいです。
気づかれなさすぎて、何もしていないように見えるのも問題だと思いますが、
照れくささのあまり、あまり気づかないでほしいと思ってしまいます。

今日も午前中が充実していたので、アルバイトにもさわやかな気持ちで行くことができました。
今日でアルバイトは3日目でした。アルバイトがとても楽しいです。
アルバイト初日は、不安が消えませんでした。
(こんなにパンの種類覚えられるかなぁ……。レジもどうやってやったらいいのかわからないし)
レジを間違って打って、変な音が出たりするととたんにパニックになってしまいました。
そういう時に、先輩が少しも慌てることなく、ちょっと操作しただけでスムーズにその場で対応してくれたのです。
わたしはそれを見て、考え方を変えてみました。
わたしはまだ入ったばかりなのだから、何もわからなくて当たり前です。
教えてもらったことや、見て覚えたことを忠実に真似していくことを心がけました。

一番大切にしたことは「言葉・態度」です。
お客様にももちろんですが、同業の方への接し方も気を付けました。
わたしが働いているところはとてもしっかりしたところで、社員教育が徹底しています。
だから、職場に入るときに全員に挨拶するのは当たり前だし、誰もが礼儀正しいのです。
わたしは、誰かに教えてもらったら、「ありがとうございます」、
間違えたら、「すみませんでした」、注意されたら、「はい、気をつけます」とはっきり言うようにしました。
そうして自分の言葉や態度に気をつけて人と接していると、
自分の人に対する感じ方が変わっていくのを感じました。
入った初日に、(この人ちょっと苦手だな)と思った人が、
とても丁寧に教えてくれる厳しいやさしさを持った人なのだとわかりました。
(人を映し鏡にして、常に自分を磨いていかなくてはいけないんだ。やっぱり外の世界も、なのはなと変わらないんだ)
改めてそう実感しました。

アルバイトや社員として売店に入っている人は、何人もいます。
多分10人はいるのではないでしょうか。
わたし以外の人は、売店で売られているパン全部の値段を暗記しています。
パンの種類はとても多いです。
値段だけでなく、「調理パンの○○円」「菓子パンの○○円」「バケットの○○円」「○○食パンの○○円」「ドーナツの○○円」というように、
名目別にレジを打たなくてはいけないのです。
わたしはお客様があまりいない時間に、店内でメモ帳を持ってまわり、パンの特徴と名前、値段をメモしていきました。
お客様がいらした時は、すぐにレジに戻ります。それを繰り返していました。
今は105円の調理パンと菓子パンを覚え中です。
なんとなくはわかるのですが、確実ではないので極めていきたいです。
一度自分の覚え加減をテストしてみたいのですが、お客様を待たせるわけにはいかないのでなかなか試すことができません。
105円パンばかり買ってくれる方がきてくれたらとても嬉しいのですが、なかなかそういう人はいないのです。

食パンの違いは、はじめは全然わかりませんでした。まったく同じように思えるのです。
でも、硬さとか、断面の片方には耳が付いているけどもう片方にはない、とか微妙な違いがあります。
それで種類を見分けなくてはいけません。
食パンにもたくさんの種類があるのです
(パンド・ミ、シューペリユール、シューペリユール(山型)、イギリス、ブリティッシュ、デニッシュ、プルマン)。
今、食パンの名前を記述しましたが、何も見ずに打ててすごくうれしい気持ちになりました。
明日もアルバイトが入っています。楽しみです。5時間立っていても、全然つらくありません。
失敗もするけれど(今日も伝達ミスでお釣りを渡しそびれるという大変な失敗がありました……)、毎日学ぶことばかりで楽しいです。
とても楽しくておもしろいので、どれだけでも詳しく書いてしまいたくなります。
でも、まだパンの名前を覚えきれていないので、書くことができないのがとてももどかしく思います。
もっともっとたくさんのことを覚えて、お父さんとお母さんに報告できるように毎日頑張ります。


●なのはなでのこと●

おじさんたちと話す内容のほとんどがなのはなでのことです。
今日も野菜の話をしていて、「大豆なら、なのはなで育てました」と言うと、話が盛り上がりました。
どうやって育てたのか、土はどんなものがいいか、うちでも作れるか……。
わたしの知っている限りのことを話したら、とても喜んでくれました。
他にも、なのはなでわたしはやっていないけれど、見ていたので知っていることなども話しました。
どんなことでも、知識として知っているだけでなく、経験として自分のものにしているだけで価値なのだなと感じました。
わたしはなのはなで野菜のことをたくさん知って、それだけで楽しかったです。
でも、なのはなを卒業してからも、こうして人にそのことを伝えることができる。
そして喜んでもらえることがとても嬉しくて、やっぱりわたしはとても幸せな体験をさせてもらったんだと改めて思いました。


●昨日のこと●

昨日はおじさんと和美さんの店(お食事処)で、大きな注文がありました。
なんでも老人会かなにかの出前だったようです。わたしはアルバイトに行くまでの時間、お手伝いをしました。
おじさんの知り合いのお寿司屋さんも来てくれました。
おじさんとそのお知り合いの方とで助六を握って、パックにつめていっていました。
わたしはそのパックに輪ゴムをして、数を数える係をしました。
おじさんたちはとてもスムーズにお寿司を巻いて、切って、つめていってしまいました。
助六は全部で70人前です。
その後はアナゴを150カン握るという話をしていました。
わたしは出かけてしまったので詳しくは聞けませんでした。
全部お手伝いしたかったので、途中で抜けてしまったことがちょっと残念でした。
また機会があったら、お手伝いをしながらじっくり見ることができたらいいなと思います。



 
 なつこちゃんは、先月(2010年3月)卒業し、
なのはなを旅立っていき、地元の高校に復学しました。
 現在は、高校に通いながら、アルバイトをしています。
 こうして社会に出て元気に生活している卒業生がいることが、
私たちの希望です。 
 なつこちゃんはなのはなファミリーが実家だと話してくれました。
 場所は離れていても、心で繋がっているから安心していられ、
そして、近くにいるように感じられます。
 なつこちゃんと同じ気持ちで、私たちも頑張ります。