過程で成長できたスプリングコンサート  

スプリングコンサートの係分担で、私はうり太郎劇団と土木のステージ作りに携わりました。

・ステージ作り


 ステージは新春コンサートの時と同じものだったのですが、作り方がうろ覚えでした。
 新春の時は、人任せにしてウォッチャーでいたからきちんと覚えていなかったのだなと反省しました。
 今回は、作り方をよく知っているそらちゃんを中心にして、ステージ作りは始まりました。
 解りやすく図面を描いてくれたり、パイプの組み方を説明してくれるそらちゃんの姿から、
(良い物を土木の皆で作りたい、そのために自分の知識を全て伝えたい!)
 という強く熱い気持ちを感じられ、私はそらちゃんのその気持ちに応えたいと思いました。
 パイプ組みはパズルのようで難しかったけれど、必死に考え、疑問点は納得できるまで聞き、話し合い、作っていきました。
 須原先生にはたくさん助けてもらいましたが、それに頼り切りになるのではなく、自分達でより良い方法を探っていけたのも良かったです。
 失敗は数えきれません。でも、失敗する度に、どうして失敗したのか? 何がいけなかったのか? どうすればいいのか? と皆で考えました。
 1人の失敗を皆で共有し、カバーしていったのです。それが嬉しくて、
(自分は一人じゃないんだな)
 と感じられました。1人で辛さを背負い込まなくてもよいのです。 
 もちろん、成功も共有しました。1段目、2段目と進むごとに手順が解っていき、リーダーの人が役割分担を決め指示を出し、作業は徐々にスムーズになっていきました。
 リーダーに気持ちを添わせる、人の下にしっかりと付く、チームワーク良くいい仕事をするのはこういう事だと実感しました。
 お父さんが、
「ステージは作る事に意義がある」
 と言ってくれたとき、私はストンとその言葉が心に入ってきました。
 完成したステージは大事だけれど、それ以上に作った時間(過程)こそが、私の宝物なのです。
 ステージは解体されてなくなります。けれど、皆と共有した目に見えない気持ちは、心の中にずっとずっと残ります。

・新メンバー加入


 今回、うり太郎劇団には新しい5人のメンバー(こうちゃん・まりかちゃん・さとみちゃん・ゆうきちゃん・かにちゃん)が加わりました。私はリーダーとして皆を引っ張っていき、
(良い劇を作り上げたい)
 と思いました。その過程で、いくつもの壁にぶつかり、自分や人の色々な面が見えてきました。
 まず始め、全員で共通のテーマやイメージを決め、あらすじを考えていく事にしました。しかしなかなか決まらず、話し合いは難航しました。
「うーん……、どうしようか」
 と雰囲気は停滞していくばかりでした。それぞれアイディアは出すものの、
「これだ!」
 というものがなく、時間ばかりが過ぎていきました。
 私はリーダーとして話し合いを進められず、いい空気を作れずにいて情けなくなりました。
 自分自身、良い案が浮かばない事にもイライラしていました。結局いくつか上がったアイディアの中から多数決を取り、それに沿って台本を書く事になりました。
 台本は始め、まりかちゃんと一緒に書くつもりでした。 でも、いつも1人で書いていた私は、うまく二人で書く方法が解らずにいました。
 それに加え、決まったアイディアにいまいち納得がいかない気持ちもありました。そんなこんなで、モヤモヤとした気持ちを抱えてしまいました。
 でもこれではいけないと思い、私はまりかちゃんにその思いを正直に話してみました。
 2人で話した結果、全く新しい切り口で、ゼロから考え直してみようということにしました。まりかちゃんは、
「なおちゃんがこれというアイディアが浮かんだら、1人でどんどん書いちゃっていいよ」
 と言ってくれました。きっと、私が1人で書きたい、一緒に書くのは難しい、というイライラした気持ちを感じ取ったのだと思います。それはとても申し訳なかったです。
 まりかちゃんも台本を書きたかったはずなのに、私がそういう空気を出してしまい、遠慮させてしまったのだと思います。

・台本作り

 私は、とにかく必死でストーリーを考えました。
 面白くて、なのはならしい、そして自分たちの活動や今の思いを来てくれる親に伝えられるような、そんな内容の劇。
 なかなか浮かばず、間に合わない、どうしよう、今回こそ書き上げられないかもしれない、と胃がきりきりしました。(毎回脚本を書くときは同じ事を感じます……)
 でも、ある朝、ひとつの案が頭に浮かびました。
 ネタというか、1つ大きな流れが浮かんでしまえば、その後はいつものようにどんどん楽しんで書き進められました。
 でも結局、皆が出してくれたアイディアを全く無視して、自分が書きたいように書いてしまったので、それは皆に悪い事をしたなと思います。
 せっかく話し合ったのに、それを無駄にしてしまったのです。
 でも、だからこそ、良いものを書き上げようと頑張る事にしました。
 でき上がった台本をお父さんに読んでもらったら、予想外に大爆笑してくれ、びっくりしました。
 そして同時に、
(苦しんで書いて良かった)
 と思えました。

・練習開始

 台本完成後はいよいよ練習です。台本さえ仕上がれば後はスムーズにいく、と油断していたのですが、それは大間違いでした。食事の後などに、
「うり太郎集まってもらえたら嬉しいです」
 と声をかけても、全員集まらなかったりする事があり、何だか気持ちがバラバラだと感じ、悲しくなってしまいました。
 良い劇を作ろうと協力して
くれる人、あまり積極的ではなく受け身な人、劇に参加する気があるのか無いのか解らない人、色々な人がいました。
 リーダーとして、全員の気持ちをまとめ、いい空気を作り上げていけずに悩みました。
 また、メンバーが11人も居て、それぞれが土木のステージ作り・飾り係・小バンドなど掛け持ちで忙しく、揃って練習するのが難しい事も悩みました。
 それから、土木のミーティングに出ていて、うり太郎の練習に間に合わなかった事もあり、自分の中で優先順位をつけることができず、皆に迷惑を掛けてしまった事もありました。
 そんな風にして遅々として練習が進まず、段々イライラしてきてしまいました。
(どうしてもっとやる気を出して、集まってくれないの?)
 とうまく進まないのを人のせいにしていました。
 でも、それはとても偉そうな考えだったのです。皆にやる気を起こさせ、まとめるのはリーダーの仕事であり責任なのです。私は、
(皆忙しいから、余り時間をとって集まってもらうのは申し訳ない)
 と変に遠慮していました。 そういう態度がまとまりのない空気を作り出していたのだと思い、私はもっと自分の気持ちを正直に主張していくことにしました。
 何時に集まって練習しよう、この時間は絶対に全員揃ってやろう、という風に。
 そうしていったら皆も練習は楽しい、もっともっと面白いものにしたい、と盛り上がっていきました。
 夜だったり、朝食前の時間だったり、忙しい時間をやりくりして、練習は進んでいきました。やはり、動きをつけたりそれぞれがキャラを作って台詞の言い回しを考えていくと、自分の書いた台本がより面白く進化していき、嬉しくなりました。
 新しいメンバーも、自分の役を楽しんで演じてくれました。それぞれが動きやキャラクターをどんどん考えてくれていました。
 古くからのうり太郎のメンバーが練習を盛り上げたのはもちろんですが、サブリーダーのまりかちゃんも新しい五人を引っ張るように演技のアイディアを出してくれたりして、助けられたなと感じています。
 脚本を書いているときは新しい五人をどう生かしたらいいかに悩みましたが、練習の段階で予想以上に面白くてかわいい「まくわうり太郎」というキャラクターが出来上がり、皆に支えられ作っていける喜びを強く感じました。

・アドバイスをもらって

 劇が完成し、お父さんとお母さんに見てもらいアドバイスをもらいました。
 まず、動きがリアルではなく、演技が浅いという事。
 そして、台詞を伝えるには普通の会話のような言い回しでは伝わらないので、5・7・5調にしたり、長台詞にするなどの工夫をするとよいという事。
 ケチャネタがそのまま同じでつまらないという事。
 最後の部分を、多人数活かした動きで盛り上げると良いという事。
 自分たちでは気付くことが出来ない点を沢山指摘してもらいました。
 時間はなかったけれど、そのアドバイスを取り入れ、もっともっと良い劇にしたいと燃えました。ケチャの部分は前日の夜にネタ(選手宣誓や指揮をする動きなど)が思い浮かび、むめちゃんに提案しました。
 そして、楽器や飾りの設置が済んだ夜9時半頃から、メンバー全員で集まってアドバイスをもらった部分を変え、劇を完成に持っていきました。
 最後の最後まで、少しでも良くしていこうという意気込みが皆の中にありました。
 練習前の気持ちがバラバラだった雰囲気は微塵もなく、自分自身も思った事や考えをどんどん言う事ができました。
 そういう中で作り上げられ、本当に嬉しく、
(やっぱり過程(練習)が大事で、その時間が自分の気持ちを作っていくのだな)
 と思いました。劇を作り上げた事で皆のことをよく知る事ができ、どんどん好きになれました。
 
・次につなげて

 ただ、劇の完成度は低かったなと感じています。
 もっとリーダーとして計画的に練習を組み立て、早い段階で完成形に持ち込んでいれば、もっと動きを揃えたりして演技を深く濃く詰められたと思います。
 せっかく面白い動きや台詞が作れたのだから、それを更に磨き上げていけたら良かったと反省しています。時間がない、人数が多いという言い訳を自分に作っていました。
 でも、やり方次第でもっと時間は取れたはずです。
 今後はこの反省を活かし、1人1人のやる気を促し、全体にいい空気を作り出し、一緒に1つの劇を作り上げていくんだという気持ちを共有できるようにしたいと思います。
 リーダーとして気持ちを誤魔化さず、本音でぶつかり、皆が楽しく質の高い仕事(演技)が出来るように練習時間や方法を計画立てていきたいです。
 そして常に高い志を持って、中途半端なところで妥協しない自分でありたいと思います。

・コンサート当日

 無事晴れ、飾りの風車がよく回る風が吹く中始まったコンサート。
 音楽演奏でも合唱をしていても、皆とは家族なんだ、強く繋がっているんだと感じられました。
 今まではあまりそう感じなかったのですが、今回はそういう思いが強かったです。
 きっとコンサートを作り上げる過程の段階で、沢山の共感を得られたからだと思います。家族のみんな、お父さんお母さん、スタッフの方々、私を支えてくださる沢山の方に見守られ、その中で自分は生きていけるのです。
 うり太郎の劇では、みんなが笑って楽しんでくれて、ホッとしました。
 過程が大切、とはいえ、やはり観客の反応が気になるのは本音です。コンサートが終わった後、色々な人が、
「面白かったよ」
「首を振る場面が最高だった」
「うり太郎の五人がかわいかった」
 などと感想を言ってくれて嬉しかったです。
 小バンド演奏ではお母さんが歌う「宙船」が心を強く打ちました。お母さんが私達を指さし「お前の手で漕いでゆけ」と歌う場面で、涙が出てきました。
「親への依存を断ち切り、自分の手で自分の進むべき道を見つけて、自立しろ!」
 と言われてるように感じました。
 私は改めて、親の影を自分の中から消し去り、お父さんお母さん、共感できる仲間と共に支え合って自立していかなければ、と思いました。親の価値観、親の目、親からの評価、今まではそれだけが自分の人生の判断基準だったように思います。今でもまだそうなのかも知れません。摂食障害から回復するのも親のため、
(親を安心させるため)
 という気持ちがどこかにあるのです。
 でも、それは捨てなければと思います。
 親ではなく、自分のために治るのです。お母さんの宙船を聴きながら、こんな風に思えました。
 それから、私は今回親が見に来なかった事をとても残念に思いました。
 私が大好きな心強い素敵な家族、そしてまだまだ未熟だけれど自立したい、依存を断ち切りたい、と前向きに色々な事に取り組んでいる自分自身を見てもらいたかったです。
 今回のテーマである「親をあっと驚かせよう」の通り、
(前に会った去年の12月からこんなにも変わったんだと知ってもらえたら良かったのに……)
 と思いました。親に見て欲しいと思うのは依存なのでしょうか? 解りません。
 でも、私はなのはなのお父さんお母さんの子として、回復できるんだと信じて頑張っているのは確かです。それを両親に知ってもらいたいのです。
 だから、やはりスプリングコンサートを見に来て欲しかったです。残念でした。
 私は今回うり太郎のリーダーや土木のステージ作りを通して、自分にもっと責任を持って、もっともっとプレイヤーとして生きていきたいと思えました。
 責任感を持って皆と気持ちを合わせて、妥協せず何事にも取り組みます。
 そういう中で、浅い自分を変え、強い心と身体、深い本物の優しさを作っていきたいです。いつでも繕わず、嘘をつかず心を開いていきたいです。
 そして、親への依存を無くし、自立していきます。